- 2015.11.02 Monday
- moto・・・・モトグッチ・整備など
今回はシリンダーヘッドを組み始めます。週に1回か2回、終業後にひっそり作業しているだけなので非常にゆっくりと進行しております(笑)
バルブとバルブガイドは振れが出てましたので交換します。メーカー指定の許容最大値は直径で0.055mmなのですが、画像のようなチェックもできます。
バルブガイドの頭を指で押さえて、バルブを勢いよくパッと抜く!すき間が小さければポンっと音がするのです。わたしのヘッドは・・・・・音がせず、ヌルッとバルブが抜けてきました(泣)
このシリーズのエンジンは、現在のセールスの中心機種になったV7まで引き継がれてとても息の長いものになりました。2本のバルブはまっすぐ垂直に並び、ピストン燃焼室を持つ、シンプルというか地味な印象を受けるのですが。
でもそのおかげでプレスを使ってバルブガイドの交換ができるのです。お客さまのエンジンの場合はエンジン加工工場に依頼するのですが、自分のエンジンなのでせっかくだからトライしてみましょう。
まずヘッド全体をよく加熱してからガイドを慎重に抜きます。そして新しいガイドを傷めないよう特殊工具も使って圧入します。そしてゆっくり自然に冷やす。
ガイドはあらかじめバルブを通してチェックしていたのですが、圧入後は狭くなってバルブが入らなくなります。そこでリーマ通しをして内径をバルブステムに合わせてゆきます。削りすぎたらアウト!!自分のなので極力クリアランスを小さくしてみたい、でも狭すぎて焼きついたら・・・・・なんとも神経を使う場面が続きます。
続いて擦り合わせをします。
と簡単に書きましたが、ピンとこない方のためにもう少し書くと、新しいバルブガイドとバルブをシリンダーヘッドに組むので、バルブシートとバルブの密着を良くするため(密着が足りないとよい圧縮が得られません)の作業です。
バルブとバルブシートの当たり面にコンパウンドをつけたうえで、エアフラッパーを使ってバルブを高速で往復させバルブシートに打ち付けることによって双方の当たり面がなじむ(微量に削られる)のです。バルブが並んだ画像の左のインテークバルブに白く当たりがついた跡が見えますでしょうか。これは少々頑張りすぎてしまいました。少し当たりが広すぎています。
その次の画像は下準備を終えていよいよシリンダーヘッドに各パーツを組み込むところですが、まずバルブステムにモリブデン・ペーストを擦り込んでいます。ブラシでゴシゴシやります。普通に塗布しても作動初期の潤滑不良を防ぎますが、擦り込むことによってその効果が増すのです。
いよいよ組み付けです。コッターに脱落防止のグリスをつけてバルブステムに置いてゆきます。ちなみにバルブステムとコッターとリテーナーのマッチングは事前にチェックして、どのバルブをどこに使うかも最初に決めてから各作業をしています。
バルブを組んだら、ハンマーなどで軽くショックを与えて収まりをチェックします。・・・・・が、余り強く叩いたり、斜めにショックを与えたりしたら鋳鉄製のバルブガイドがコロッと折れてしまったりするので要注意です。
こうしてシリンダーヘッドが完成しました。
mas