- 2016.07.03 Sunday
- moto・・・・モトグッチ・整備など
今回は車体まわりに取りかかります。
まず上の画像の左上ですが、センタースタンド・サイドスタンドの接地部分を大きいプレートに変更し、アンダーフレームのサイドスタンドステーを強化したところです。
サイドスタンドステーを強化したのにはわけがありまして、元々モトグッチのサイドスタンドはあくまでもメインではなくサブスタンドとしての使用を前提としていたので、あまり強く作られていませんし、スタンドを出した状態で固定できず、荷重を抜けばパタンと戻ってしまいます。長く離れるときはセンタースタンドを使うこと!というメーカーの意思表示だったわけですが、今回は例えばキャンプ地など柔らかい土の地面でセンタースタンドが立てづらかったりするときにサイドスタンドが使えるようにしました。またセンターもサイドもスタンドが土にもぐらないように接地部分を広くしたのです。
ステップは、フロリダには大きなラバークッションのついたものが使われていましたが、振動軽減の効果もあったのでしょうけれどダイレクト感に乏しいラバーは外しました。そして裸になった丸パイプに、スペインのモンテッサのトライアルモデルに使われていた頑丈なステップがリパラーレにありましたので、それを熔接してみました。左下の画像はビフォー&アフターです。
それと、前回のステアリングヘッド等の組みつけに続いて、フロントフォークも取り付けました。V65の標準、ステアリングヘッド下端からアクスルシャフトセンターまで545mmで組みました。しかしアメリカン・モデルであるフロリダのフロントフォークはもっと長いので、ご覧の通り突き出しが多くなってしまいました。さてさて・・・・・
続いてリアスイグアーム。この車体には画像のスペーサーが入っていませんでした。センター出しの"肝"になるのに・・・・・。
前にP系はV系と違ってスイングアームがトランスミッションケースに取り付けられると書きましたが、もう少し書くと、V系が「外側に位置するフレームにネジが切ってあってピボットボルトでスイングアームを締め付ける」のに対してP系は「外側に位置するスイングアームにネジが切ってあってピボットボルトでトランスミッションケースを締め付ける」という違いがあるのです。
さらに、V系はテーパーローラーベアリングが入っているのでピボットボルトによってベアリングを一定のトルクで左右同等に締めつつ、ピボットボルトの頭が左右同じ高さになるように調整することで、スイングアームのセンター出しをしています(メンテナンスブック194Pをご覧ください)が、P系ではボールベアリングが使われていてスラスト方向の仕事はしていません。スイングアームの右の内側のみに入れられたスペーサーをはさんでいるスイングアームとトランスミッションケース(正確にはケースに入れられているボールベアリングですが、以降省略)に密着させることによって位置決めをしています。つまりこの車体はスペーサー無しで「雰囲気」で組まれてたということになります。いろいろ残念ではありますが、どんどん治していきましょう!
で、位置決めの方法、少し長くなりますが・・・・・
まず左右のピボットボルトを仮組セット、もちろん右の内側にスペーサーを入れておきます。あまり右は締めこまずにおいて、左のピボットボルトを締めこんでいくと、スイングアーム全体が左へと寄せられていきます。そして締めこみが進んでピボットボルトの反力が強くなったら、右側のスイングアーム・スペーサー・トランスミッションケースがピタッと密着したと判断できます。ちなみにボルトが締めこまれたことを「反力が・・・」という書きかたをしたのは、スイングアームがアルミ製なのである程度開いていくため、締め込みの最後にカチっと締まるような感触は得られないからです。
位置が決まったところで、右側のピボットボルトをベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。先に書いたように締め過ぎがあるので注意!締めすぎるとすき間が生じます。
右側がきちんとセットされたあと、あらためて左側のピボットボルトも一度ゆるめてから右と同じようにベアリングインナーレースに着座するまで締めこんでいきます。やり直すのは、最初の締め込みでは左にきっちり寄せるために若干余分に締めていると考えられるからです。スイングアームの変形に注意してください。
ちなみに、スイングアーム組み付け時、ドライブシャフト表面にグリスを塗っておきました。P系はこのエリアにオイルが回らない構造で、スイングアーム内でひそかに真っ赤に錆びてることが多いので・・・・・。
だいぶ長くなりましたが、次にタイヤの組み付け。
アクスルナットを締める際にはスイングアーム後端のクランプを締めてアクスルシャフトを固定しなければなりません。が、アクスルナット締め付け後に一度緩めてから締めなおさなければなりません。なぜならナットが緩んでる位置から締めこんだ位置まで・・・・・画像の場合アクスルシャフトが右側に引っ張られている可能性があるからです。
おわかりでしょうか?フロントフォークも同様です。アクスルナットの反対側のクランプを締めてからナットを締めると、当然左右のフロントフォークが内側に引っ張られた状態になる恐れがあります。是正して、アクスルナットと2本のクランプボルトを適正な順番で締めていかなければなりません。そうでないとディスクブレーキの場合、キャリパーとディスクのセンターがずれてしまいます。
そしてリアサスペンションは新調しましたが、新品であっても使用する前にダンパーシールにシリコングリスを塗っておくとシールを傷めません。
さあもろもろセットして、久しぶりに屋外に出せる状態になりました。タンクは中古を取り寄せて交換しました。
実は以前、親しいお客様が「なんでカリフォルニアがあるのにもう一台アメリカンなんですか?」と怪訝そうにしていらっしゃいましたが、もちろん2台似たようなのは要りません。アメリカンタイプではないことはこの画像でおわかりいただけると思って載せました(笑) ご心配、申し訳ありませんでした。
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