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シールテープ

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以前からよく見かけていたのですが、フュエルコックの取り付けねじ部に巻かれたシールテープ。この部分からのガソリン漏れやにじみに対処したものでしょう。もしかしたらわりと一般化した手法なのかもしれませんが、はっきり言って間違っています。
 
画像の車体ではにじみが止まらなかったことがわかりやすくシールテープが変色しています。まあたまにこういった変色が無い、つまり結果的ににじみが止まっている車体もあることも事実です(ただしシールテープが効いたせいかどうかまではわかりません)。ただそれは幸運だっただけではないでしょうか。
ではなぜこのフュエルコック取り付けにシールテープを使ってはいけないのでしょうか。実はシールテープが有効かどうかはネジの形状によるのです。

 
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手描きで申し訳ありません、上の図をご覧ください。
シールテープによるシーリングが有効なのはテーパーねじのほうなのです。図では4山のめねじに4山のおねじを差し込んでいくイメージです。黒い矢印は締めこんで行く方向です。テーパーねじは締め付けの序盤ではゆるゆるで、終盤にめねじとおねじの面がピタッと合うように作られています。その接触面積が広いので耐密性が高いのです。ただ隙間がまったくゼロというわけにはゆかず、そこを補助するのがシールテープなのです。
 
一方平行ねじ(一般的なねじ)は、めねじよりおねじのほうが少し細く作られています。考えてみてください、もしきっちり同じ径(もしくは極めて近い径)で作られていたら摩擦が大きすぎて入っていくことも困難なのです。適当な隙間があるのでするすると入ってゆき、ボルトあたまが着座するとボルトあたまの方向(矢印A)に引っ張られるので、めねじとおねじの片面(図では右側)が密着するのです。ただし、この図ではわかりやすく大きめに描いていますが、密着した面の反対側の面には隙間ができます。これを立体化するとらせん状の隙間(つまりらせん状の通路)となるので耐密性は期待できません。

 
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ですので、平行ねじの場合はガスケットを使う必要があります。
上の画像はフュエルコックに使われているガスケットです。ナットの中で2つのパイプにはさまれています。燃料タンク側のパイプには正ねじが切られて、コック側のパイプには逆ねじが切られているのでナットを締めこんでゆくと2つのパイプがより密着してガスケットを強くはさむ構造になっています(この画像では上下ともフュエルコックのねじ部を撮っています)。この構造での漏れやにじみが出たときの正しい対処法は、「ガスケットを点検・新しくする」「ガスケットが接触するパイプ面に異常がないか点検・修正する」「ナットに割れがあったりねじが傷んでいないか点検・新しくする」となります。

 
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もし、ガスケット・パイプ・ナットに異常があったら、いくらシールテープを巻いても漏れ・にじみは止まりません。上の図で説明します。
ナットを締めこむと左右2つのパイプ(タンク側とフュエルコック側)は矢印Bの方向にはさんだガスケットを圧縮しようとします。それによって耐密性が高まるのですが一方、両パイプのねじはナットのねじに矢印Cの方向に押し付けられるのでねじ山の反対側(図では内側)に隙間ができます。この隙間はテーパーねじのものよりも大きいので、もしガスケットなどに異常があってガソリンをシールできていなかったら、構造上シールテープを巻いたくらいでは対処できないのです。「ガスケット面でシールする」という、構造に即した対処をしましょう。
 
ちなみになぜこのフュエルコックに耐密性の高いテーパーねじを使わなかったのかというと、テーパーねじがキュッと締めてゆくほど耐密性が高くなる反面、適当なフュエルコックの向き(角度)で止まらない可能性が高いためでしょう。平行ねじならナットのみを回して締めこめるので、フュエルコックを任意の角度で取り付けることができるのです。 
 
mas

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