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1200cc OHC4Valve Engine-8

*LPR fig7
コンロッドとピストン(フリクションの低減)
LPR fig7-a & LPR fig7-b-----(以下のコンロッドの仕様はBreva1100/1200にも採用されています)

LPR fig7-a.jpg LPR fig7-b.jpg

LPR系のピストンは既存のモデルに比べ、ピストンピンボス部をよりピストンクラウン側へ近づけてコンロッド長を長くし、又、ピストンスカートを短くしています。 これはピストンが上死点から下死点へまたは下死点から上死点へ移動する時に発生するピストンへの側圧(フリクション)を減少させる為にこの様な設計としました。(この側圧は燃焼行程時がより顕著です。)


LPR fig7-e.jpg
LPR fg7-e

又ピストンスカート部へもフリクション低減の為テフロンコーティングを施してあります。


LPR fig-7c.jpg LPR fig7-d.jpg
LRR fig7-c LRR fig7-d

コンロッドのイメージ[fig7-c]ではビッグエンド部のスラスト側が変色しています、通常の使用過程ではこの様な事は起こりませんが全負荷耐久ベンチテスト後の部品チェック時のものと思われます。
又、コンロッドアームの横にある凸起はオイルジェットホールでピストン裏側を冷却し又、ピストンピンの潤滑の為にオイルを噴射しますが、凸起を設ける事により噴射方向がより確実なものとなります。(オイルジェットホールはOHVモデルにもありましたが凸起はありませんでした。)


LRR fig7-dOHVモデルの圧縮比10.0のピストンですが、fig7-cのピストンと比べて下さい。 OHVエンジンの燃焼室は理想的な半球形ですが出力をより得る為に圧縮比を上げるにはピストンクラウン部に盛り上がりが必要となります。その為燃焼室表面積が広くなり燃焼速度を速めるのに悪影響を与えます。
しかし、LPR系の燃焼室は4バルブの為半球形燃焼室には出来ませんが、バルブ挟み角を狭く出来、フラットに近い燃焼室と成り、又吸気ガスにタンブルやスワールを起こしやすい形状とする事が出来ますので燃焼速度が速くなります。(要するに出力が上がります)
加えてピストンクラウン部もフラット形状でも圧縮比を上げる事が出来、燃焼室表面積が小さいより理想的な燃焼室を得ました。


*縮尺が同じではありませんが、形状の違いを較べてください。


LPR fig7f.jpgLPR fig7g.jpg

         Griso1200 8V.jpg

エアークリナーは付いてますよ(エンジンにはクリーナーケースの内容量は性能を左右する大事なものです)


T.Shiga
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1200cc OHC4Valve Engine-7

*LPR-fig6
トロコイドオイルポンプ

-------オイルオンプの取付位置は"1200cc OHC4Valve Engine-2" LPR fig1-aをご覧下さい。

LPR fig6-a.jpg
fig6-a

オイルポンプassy. 従来のOHVモデルはフリクションが少ないギヤポンプでしたがOHCモデルではオイル送油性能が良いトロコイドポンプを採用しました。この小さなポンプボディの中に2つのトロコイドローターがあり内側のローターはオイルフィルターを経て潤滑等の為にエンジン各部へ送られます。又、外側のローターはオイルラジエターを経て主に冷却の為にシリンダーヘッドへ送られます。



LPR fig6-b.jpg
fig6-b

ポンプ分解図です。

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1200cc OHC4Valve Engine-6

*LPR-fig5
-------オイルによる冷却装置
LPR fig5-a.jpg

fig5-a
4Valve,LP系の特徴のひとつに積極的にオイルを利用したシリンダーヘッド排気バルブ付近の冷却です。
DAYTONA1000・4Valveの試作時でのシリンダーヘッドのトラブルが原因でかなり発売が遅れました、4Valveヘッドの設計は熱歪などの影響でかなり難しいようです。
LP系4Valveヘッドは新しい設計が見られます。



LPR fig5-b.jpg
fig5-b

CADで描かれたシリンダーヘッドEXポート付近ですが、両EXバルブの周りにオイルラインを通しオイルによる冷却をしています。



LPR fig5-c.jpg
fig5-c

シリンダーヘッドのカットモデルです。
EXバルブ付近にオイルラインがありますがライン内側にはネジを切った様な溝があります、オイルが通る時に抵抗で流速が落ちオイルの滞留時間を増やすと共に、オイルに接触する面積を増やす為に加工してあります。つまり、シリンダーフィンと空気(オイル)の関係と同じ作用です。
オイルはシリンダーのオイルラインを通りクランクケースへ戻り再びオイルポンプによりオイルラジエターへ送られて温度下げて再びシリンダーヘッドへ送られます。


*余談ですが、ピストンヘッドのバルブリセス等の加工状態が判りますが、これは試作時のイメージですので、シリンダーヘッド内側(燃焼室)は見せてません。なぜなら、優秀な設計者は燃焼室を見るとそのエンジンのパワー等性能が推測できるそうですから未だ発表したくなかったのでしょう。
スパークプラグは燃焼室中央にあり、”バルブはさみ角”は狭く燃焼室面積が小さくて現在考えられる最新の設計水準で燃費も良い様です。




LPR fig5-d.jpg
fig5-d/e

EXポート付近のオイルラインを表したCAD図です。


LPR fig5-e.jpg

T.Shiga
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1200cc OHC4Valve Engine-5

*LPR-fig4
------バルブ伝動装置
LPR fig4-a.jpg
fig4-a

タイミングギヤトレイン、V7Sport以来のギヤによるバルブ伝動装置です。
クランクシャフトギヤによりオイルポンプギヤとカムチェインを駆動するアイドラーシャフトを駆動します。
アイドラーギヤとオイルポンプギヤはモジュールが異なりますのでクランクシャフトギヤは2枚重ねて組付けてあります。
-----しかし、ギヤのバックラッシュノイズ対策は? 不要な程精度が良いのか?



LPR fig4-b.jpg
fig4-b

カムチェインのレイアウトが判ると思います。(クラッチ側からのイメージ)



LPR fig4-c.jpg
fig4-c

シリンダーヘッドのスペースの都合で小径カムスプロケットとサイレントチェインです。
タイミングチェインに一般的なローラーチェインではなく”サイレントチェイン”を採用しています。
カムスプロケットが小径で歯数が少なくなるとスプロケットは円ではなく多角形という形状になり、カムシャフトは等速運動が出来ずにバルブの異常な動きや燃焼振動につながります。(バルブタイミングの狂い)
従って歯数は多いほど良く。歯数が概ね17T 以下くらいになると、上記の問題が大きく表面化します。 又、小径が故に一般的なローラーチェインではローラーとスプロケットとぶつかる様に噛合います、すなわち作動音が大きくなります。
これらを解決する為に、軸間のピッチを小さく出来、ピンとは別のプレート部がスプロケットと噛合いが静かな作動音となるサイレントチェインの採用です。
しかし、フリクションロスが大きいのが欠点ですが、騒音規制対策をも含め名称の如く静かなサイレントチェインとしました。
又、弊社HP”テクニカル 12”の項に詳しくありますが、チェインテンショナーは弓形(レバータイプ)となりガイドと共にタイミングチェイン振れを抑えています。



LPR fig4-d.jpg
fig.4-d

チェインテンショナーの取付け位置がRH/LHシリンダーでは異なります。



T.Shiga
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1200cc OHC4Valve Engine-4

*LPR-fig3
-----4バルブ機構に付いて
LPR fig3-a.jpg

fig3-a & b

ロッカーアーム、MOTO GUZZI既存の4バルブエンジンより大幅に剛性が向上しました。 初期のOHV90°Vツインの設計者G.C.カルカーノ氏に倣い このLPR型ではリブを要れアジャストスクリューの取付部の外径も大きくしています。   (後輩の設計者達はG.C.カルカーノ氏の設計を理解するのに何故数十年も掛かったのでしょうか、-----------?)


LPR fig3-b.jpg


LPR fig3-c.jpg
fig3-c

ロッカーアームホルダーセットはカムシャフト・バルブプランジャー・ロッカーアーム等 バルブ機構が一体で脱着が出来、合理的でメインテナンスがやり易くなっています。




LPR fig3-d.jpg
fig3-d

動弁機構の透視図です。部品のレイアウトが判ります。




LPR fig3-e.jpg
fig3-e

バルブステムエンドキャップが付いています、弊社HP”真実の口”の項に詳しくありますが、ロッカーアームがバルブを押しますとアジャストスクリューはバルブステム中心から少しオフセットした位置にありますので、スクリューがバルブを押した時にエンドキャップは回転し、関係部品の偏磨耗を防ぎます。




LPR fig3-f.jpg
fig3-f

既存のOHV90°Vツインには組付けて無かったバルブステムシールが新設されました。 一般的にステムシールは他のオイルシールのように完全にオイルをシールする様にはなっておりません、バルブガイドとバルブステムを潤滑する意味で少しオイルがバルブガイド側に滲入するようになっています。
又、バルブスプリングが通常、スプリングレートの異なる組合わせのダブルスプリングですが、LPRではシングルスプリングです。なぜ?詳細は後ほど。




LPR fig3-g.jpg
fig3-g

バルブプランジャーの動きを受けるロッカーアームにはプッシュロッド部の潤滑の為にオイルホールが設けてあり、又テーパーカットを施してあります。これは潤滑により効果がある親切な設計です。
又、カムシャフトとバルブプランジャーの関係は、カム面は僅かにテーパー状にしてあり尚且つプランジャー接触面をオフセットしてありますので、カムがプランジャーを押し上げる時にプランジャーは回転しながら上昇します。
詳細は弊社HP”テクニカル06”の項をご覧下さい。




LPR fig3-h.jpg
fig3-h

試作耐久テスト時のロッカーアーム関係部品




LPR fig3-i.jpg
fig3-i

T.Shiga
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1200cc OHC4Valve Engine-3

------エンジンレイアウトに付いて


LPR fig2.jpg
*LPR-fig2

-----LPR 型エンジンは従来の2Valveとは90%以上が新設計部品です。クランケース等を含め似て非なるものです。

1. インテークスロットルバルブ 
スロットルバルブ径50mm(V11系は45mm)で、スロットルケーブルプーリーはスロットル開き初期の過敏さを防ぐエキセントリック形状です。

2. カムチェインテンショナー
現在では常識的な弓型のテンショナーです。チェインガイドと共にチェインの振れを防いでいます。
http://www.motoguzzi-jp.com/technical/technical_r/technical_12_01.html

3. カムチェイン
従来のようなローラーチェインではありません。---詳細は後ほど

4. バルブロッカーアーム
従来の4バルブのものより剛性が増したデザインです。---詳細は後ほど

5. ロッカーアームホルダー
裏側にカムホルダーと共にカムシャフトを保持し表側(上部)ではロッカーアームシャフトは持たず直接ロッカーアームを保持しています。---詳細は後ほど

6. クラッチassy.
全て新設計です。2Valveとは互換性はありません。尚シングルプレートです。

7. インテークポート
2個のINバルブを持つインテーク、たっぷりと空気を吸い込む為に大きく口を開けている様です。

8. クランクシャフト
V7Specialより続く分厚いカウンターウエイトは健在です。 しかし初期のものよりカウンターウエイトをカットしてきています。
ダイナミックバランスをとったドリリングが見えます

T.Shiga

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1200cc OHC4Valve Engine-2

------エンジンレイアウトに付いて


LPR fig1.jpg

*LPR-fig1
1200cc4Valve(以下、LPRと称します。)のカットエンジンです。内部が見え易い様にタイミングカバーを外してあります。

1. オルタネーター(発電機)[12V540W]
以前1000Sの頃より数年間交流発電機を採用していましたが”BREVA1100”よりオルタネーターを採用しています。(1000S以前はV7Sportの頃より”オルタネーター”でした。)
発電(充電)効率の違い等で再採用となったのと思います。基本的に交流発電機ですが、整流(直流変換)の為のダイオードを内蔵してあり、オルタネーター内で直流電流にし、外部(バッテリー)へ流します。 ご覧のようにクランクシャフトよりプーリーにてリブドベルト介してオルタネーターを回転させています、プーリーの大きさが違いますがクランクシャフト回転より増速されてオルタネーターは回転しています。
(交流発電機とオルタネーターの違いは次の機会に説明致します。)

2. エキゾーストパイプ(以下、EXパイプ)
パイプが二重管構造となりEXパイプが排気熱により表面の変色を嫌って二重管にしました。?
--------それだけではありません、排気ガスが流れるインナーパイプは直接空気で冷やされずに高温を維持しやすくなります、即ち空気(排気ガス)は温度が高い程流速が増す特性を利用して排気を促進します。
又、二重管構造の最重要課題はこれだと思いますが、環境問題の為”キャタライザー”の温度を出来るだけ上げて排気ガスの浄化を促進します。

3. カムタイミングギヤ
タイミングギヤトレインとしまして、後ほど説明致します。

4. オイルポンプ
オイルポンプ単体としまして、後ほど説明致します。

5. オイルプレッシャーリリーフバルブ(オイルラジエター用)
このオイルポンプリリーフバルブはオイルラジエターへ送る油圧をコントロールする為のものです。
このリリーフバルブ部を通過したオイルはラジエターを通りシリンダーヘッド部へ送られEX.ポート付近を冷却します。

6. プライマリーオイルストレーナー
オイルポンプによりエンジンオイルを吸い上げる際に異物等吸い上げないようにする最初のろ過装置です。
車両の揺れなどによるエアー混入を防ぐ為に出来るだけ低い位置に取付けてあります。
(この後オイルサンプ内のオイルフィルターで数十ミクロン単位の異物をろ過します)

7. オイルラジェエター用オイルストレーナー
エンジンオイルを適正温度に保つ為にオイルラジェエターへオイルを送りますがその際に異物が混入しない様にオイルをろ過します。



T.Shiga
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1200cc OHC4Valve Engine-1

s-s-1200Sport4Valve.jpg

モトグッチの各モデルは日本の排気ガス規制をクリア出来ない為に輸入をされていませんでした。
今般、対策済みの日本仕様が輸入されまして無事排気ガステストをクリアし2010年9月頃より正式に国内販売となります。

弊社Blogでは今後はモトグッチの主力エンジンとなる1200cc4Valveエンジンの各機構を数回に亘りまして解説してまいります。

尚、今後国内販売されるモデルは以下のモデルです。
*1200Sport4Valve
*Griso8Valve
*V7Classic / *V7Cafe Classic

Blog-1.jpg

OHVとOHC各エンジンのシルエットです。シリンダーとシリンダーヘッド部のボリュームの違いが判ります。
シリンダーヘッドがOHC4Valveにしてはコンパクトで設計者の苦労が伺えます。
又、INバルブは2個ですがインジェクターは1個です。



T.Shiga
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水冷エンジン群への挑戦!?

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東京モーターサイクルショーに行ってまいりました。正直申しまして今年のモトグッチ・ブースにはあまり期待せずに出かけたのですが、予想に反して先ごろミラノーショー(EICMA)で発表されたコンセプトモデルV12LM Concept (以下、V12LM)を見ることができました。なんでもミラノショーで展示されていた状態のまま、台座ごと箱詰めして送られてきたそうです。

ミラノショー開幕と同時にモトグッチのWebサイトではV12LMの画像を見ることができたのですが、目を引いたのは新しいフレーム、スイングアーム、そしてタンク左右の見慣れないプレート。特にフレームはショーでの画像を見ると大きく張り出した羽根のような造形が目立ちますが、モトグッチWebサイトにはフレームの断面図とおぼしきデッサン画も載っていてそれを見て想像する限り、エンジンVバンクの奥深くには断面が三角形のメインフレームが走っているはずなのです。
モトグッチのエンジンレイアウトだからこそ使えて、スペースのロスを抑えて強度を持つフレームデザイン。これがこのコンセプト・モデルの目玉だろうと考えておりました。

タンクの両側のプレートについては・・・・・・・・あきらかなヒートシンクの形状からなにかの放熱をするのだろうと考え、ヘッドカバーにパイプが入っているのでブローバイガスを冷やすのか?(液化させるために) またはシリンダーヘッドの排気側なので、エンジンのうち最も温度が高くなるプラグから排気バルブ周辺に向けて、経路を独立させて冷やしたオイルを噴射して温度をコントロールしようとしてるのか?と2人であれこれ想像しておりました。なにしろモトグッチは具体的な説明を公にしていなかったので。

このとき
「それにしても何故まだ空冷エンジン」
と志賀が言っておりました。たしかに乗り味というものを重視するオートバイユーザーの想いとは裏腹に、空冷ビッグボアエンジンは環境性能の面で限界に近づいてきています。



005.jpg

さて金曜日の東京モーターサイクルショーに戻ります。
タンク両側のプレートを指して「コントロールバルブ(クランクケースの内圧を)機構では?」という声が聞かれましたが、それはプレートの中央にある円形の凹部が連想させたのでしょうか?でもそれならばヒートシンクは必要ないように感じます。やはりこれは放熱に関係するはず・・・・・・・・。

とても気になるこのプレート、裏はどうなっているのか見てみると取り付けステーが出ているだけで期待していたパイピングなどが見当たりませんでした。そしてオイルやブローバイガスを通すにはどうもこのプレートは薄い気がしてなりません。
このモデルはコンセプトモデルとして発表され、実際にはエンジンが稼動して走るまでの完成度に達していません。言葉は悪いですが部分的にハリボテなのです。ただしそれにしてもこの新しいプレートのボリュームについては、外観上の大きなポイントでもあるのでそうそう変えるわけにもいかないでしょう。ある程度は実現性のあるボリュームが持たされているはずです。・・・・・・膨らむ謎。



img104_003.jpg img105_004.jpg

後日、ネット上に答えを見つけました。イギリスのモーターサイクル・ジャーナリストであるケヴィン・アッシュ氏がV12LMをデザインしたピエール・テルブランチ氏に取材した記事が見つかったのです。
あのプレートから出ているパイプがヘッドカバーに連結しているのでエンジン内部とつながっているように感じますが、どうやらエンジン内とは行き来のない隔離されたシステムで、真空の経路内にある液状の物質が封入されているというものなのです。

その働きを説明します。
排気バルブ周辺の高温により沸点に達した物質が蒸気になってパイプを通りプレートに入ってゆく。そこでヒートシンクの効果で冷やされ、再び液体になってパイプの下部を流れ落ちシリンダーヘッドに戻る。この繰り返しによってエンジンの最も高温なシリンダーヘッドの、特に排気バルブまわりの熱を集中的に放出できるのです。しかも勝手に循環してくれるのでポンプなども不要、パワーロスがありません。
ある物質とだけ書いているのが気になるとは思いますが、モトグッチ社としてはまだ選定に至っていないようです。ものによっては漏れて化学変化を起こす危険があるので、慎重にならざるをえないでしょう。ただインタビュー内でテルブランチ氏はナトリウムを一つの例としてあげています。

このシステムの狙いは最も高温な部分を集中的に冷却して、エンジン全体の温度のコントロールは従来のシステムが担っている点にあります。これは一般の水冷エンジンよりもきめ細かい温度コントロールと言えます。テクニカルレポート「1100Sport-inj./DAYTONA-RS 最新は最良? 」をご覧いただくとよいのですが、エンジンは低温であればあるほどよいわけではなく、ある範囲の温度であることが必要なのですから。モトグッチはただ単に空冷エンジンにこだわっていたのではなく、既存の冷却システムを凌駕できる方法を模索していたのですね。

これが市販化される日が楽しみです。その時はまた詳しく調べてお知らせしたいと思います。またこれ以前に現行V12には排気バルブ周辺を冷却するアイデアが採用されているのですが、別途ご紹介いたします。




mas
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Angelo

angelo

画像はピレリのNEWタイヤです。
ですが・・・・・・・・・・トレッド面をご覧ください。天使が見えますか?

NEWタイヤの名は「ANGEL ST」。そのまんま天使というわけです。先行のスポーツモデル「DIABLO」(悪魔)に対して名づけられたもの。「DIABLO」がイタリア語なのになんで「ANGEL」もイタリア語「ANGELO」にしなかったのか、ピレリジャパンの担当者には一応ちょっぴり抗議しておきました。

さて、珍しく商品紹介のようなことを書き始めたのにはわけがあります。
このANGEL STはデイトナ以前のモデルが履ける(フロントのみですが)久々のピレリ・ラジアルなのです。
---ちなみにDIABLOがありながらラジアルのシリーズを新設するのは、ANGEL STはスポーツツーリングタイヤとして位置づけされているからです。ウェット性能がアピールされてますが、SPORT DEMONの時点でもウェットの安心感が強く感じられましたのでANGEL STもさぞやと想像できます---


  
 

古い話ですが、ルマン1000でも前後に履けたMP7はとてもよかったです。その後フロントDRAGON(ラジアル)、リアMATCH(バイアス)の組み合わせに移行しました。本来タイヤは前後同じモデルを履くべきなのですが、このパターンを試したらフロントの反応がよく弊害もなかったので皆さんにお勧めしておりました。

今回もフロントANGEL STラジアルに期待しています。


  
 

それにしても天使のネーミングはどうして決まったのでしょう?
悪魔との対比ですから計画の早い時期に出ていたアイデアかもしれませんが、グルーブ(溝)の形状は耐久性、ネガテイブ比(簡単にいうと非接地面積の量をさす)、排水性などを高度にバランスさせてるのですから、よくぞ遊びの要素をねじこんだものだと・・・・・・あ、だからこそ顔と胴の輪郭以外は浅い溝なのですね??

そう、天使のほとんどはいくらか走ったら消えてしまうでしょう。
逆に天使が浮き上がってくるタイヤだったらちょっとコワイ気もしますが。




mas
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