[01]
第1回目はモトグッチ デザイナースピリットが漂う
オリジナル パーツに付いてお話致します。

モトグッチのエンジンデザイナーが考えたLM III・LM1000の エアークリーナーケースは 皆さんはあまり目にすることは無いでしょうが エアークリーナーの空気吸入孔はフューエルタンクの内側 フレームのタンクレールと呼ばれる左右フレームパイプの間に進行方向すなわち前を向いて開孔しています。又、排気音と共に騒音の一つである吸気音を減少させる為 角型のパイプ状になっています。 吸入された空気はこの角状パイプの中を通り 左右のキャブレターの間のボックスの中にセットしてあるエアーフィルター(濾過面積 3470C)で濾過され空気中のダストを取り除きクリーナーボックスの中で左右にわかれキャブレターを通りエンジン燃焼室へ吸入されます。
この一風変わった形状をしたエアー インテークシステムの特徴は吸入孔が進行方向を向いている事です。走行してスピードを上げればLe Mansとライダーへの空気抵抗は増えてきますがスピードを上げれば上げる程 空気抵抗に比例してエンジンの吸入負圧の流れにプラスされて押し込む様に空気が入ってきます(ラムエアー効果)。 すなわちスピードを上げれば上げる程一種のターボ作用となり吸入空気量が増えていきます。又、パワーフィルター等のエアークリナーはキャブレターの後部に直接フィルターが取り付けて有りますのでエンジンを冷却した後の暖められた空気を吸入しますがオリジナルのエアー インテークシステムはエンジンを冷却してない大気中の低温度の空気が吸入されます。低温の空気は暖められた空気より酸素密度が高いのでガソリンを燃焼させるのに必要な酸素の量が多くより多くのガソリンを燃焼させる事が出来エンジン燃焼室での燃焼速度が速くなり多くのパワーを得られます。
この様にモトグッチ エンジンデザイナーが10年以上も前にラムエアー効果と低温度空気吸入を考えデザインしたエアー インテークシステムは近年日本車にも採用され始めました。又、このインテークシステムのベーシックデザインはニューモデルであるDAYTONA1000/Sport1100にも採用されています。
1994/12/ 志賀 太一
このリポートはMoto Guzzi Owner's Club of Japan の会報に掲載された物を編集し直した物です。

Copyright(c) 2000 Moto Guzzi Reparare Corp. and Moto Guzzi S.p.A. All Right Reserved.
Technical Topa