[02]
今回は、モーターサイクル パーツの中で皆様に、
一番身近な“スパークプラグ”に付いてお話します。

ガソリンエンジンを快調に走らせるには、1]最良な空燃比の混合ガス 2]良い圧縮 3]力強いスパーク の3つが揃っていなければなりません。この中の力強いスパークの役目を担っているのがスパークプラグです。
エンジンはスパークプラグの力強いスパークによってリズミカルに生き生きと動き出します。小さなやっとスパークする様な物ではエンジンは調子良く動きません。スパークプラグには上述した役目の他に、別名「エンジン ドクター」と言われエンジン燃焼室の状態を、ついては、エンジンの調子を眼によって確認出来る唯一のパーツである事を考えればその重要性が理解出来ます。
スパークプラグはエンジン燃焼室内部に面しているだけに燃焼室の厳しい条件下に置かれています。燃焼室内部の温度変化は激しく新しい混合ガスが吸入される吸気行程の終了時では60〜120℃ですが、次に圧縮されスパークによる燃焼行程時では2000〜3000℃にも達します。この燃焼時の高温な燃焼ガスは、ピストンを押し下げクランクシャフトを回しモーターサイクルを走らせますが、その他、燃焼ガスの熱はスパークプラグ/ピストン/シリンダーヘッド/シリンダーバレル/オイル等の各パーツに伝わり空気によって冷却されます。
続いて、スパークプラグの状態を冷間始動時から順を追って説明しましょう。まず、冷間時はガソリンの気化率が低下しますのでキャブレターからのガソリンの一部はインテーク ポートやマニホールド内壁等に付着して燃焼室に吸入されるガソリンは少なくなりますから、スターターレバーを引きキャブレターから通常走行時より濃いめの混合ガスを燃焼室に供給します。エンジン起動直後、濃いめの混合ガスとインテーク ポート等の内壁に付着していたガソリンが吸入され、燃焼時に発生するカーボンが燃焼室内部をはじめスパークプラグに通常燃焼時より多く付着します。これでスパークプラグは、少し「くすぶり」の状態になります。
ウォームアップ後、走行を始めますと徐々にエンジン温度と共にスパークプラグ温度も上昇していきスパークプラグに付着したカーボンは徐々に焼け切れて行きます。しかし、走行する距離が短い時や、エンジン起動後、負荷をかけずに短時間で停止させた時は、スパークプラグ温度はあまり上昇しませんから、起動時の「くすぶり」は無くならず少し「くすぶり」状態のままです。再び、エンジン冷間時に起動させるとスパークプラグは又「くすぶり」ます。この様にスパークプラグ温度が最適温度でない低い状態のエンジン起動が何度か続く時とか、エンジン セッティングがオーナーの走り方に合ってない時は調子が悪く、スパークプラグはついには、「かぶり」状態となりスパークプラグは電極間にスパークしなくなりエンジン起動不能となります。この様なトラブルをスパークプラグの『複合汚染』と言います。では、どの様にすればスパークプラグは『複合汚染』せずに、エンジンは快調になるのでしょうか、それは、スパークプラグを最適温度即ち、『自己清浄温度』の状態にする事です。この『自己清浄温度』とは、スパークプラグの電極付近の温度が450〜500℃の状態を言います。
Technical Top