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*コネクティングロッド編*

エンジンの基本パーツであるクランクシャフト関係のパーツは V7Sport以来20数年間大きな変更は行われませんでした。これは初期の基本設計が間違いのない確実なものだったという表れと思われます。しかし、この度 Sport1100のモデルよりクランクシャフト関係をはじめ各部のパーツに付いて設計変更が行われました。今回はクランクシャフト関係の中のコネクティングロッドに付いてお話します。
コネクティングロッドの剛性不足は燃焼行程のガス圧や往復運動時の慣性力によりビックエンド部・ロッド部・スモールエンド部の変形を招きコネクティングロッドボルト(以下コンロットボルト)の折損やベアリングメタルの局所当たりが起こり焼き付きや早期摩耗を起こします。この慣性力はオーバーレブにより瞬間的にエンジンを破壊させる等致命的なトラブルになる危険性を含んでいます。
コネクティングロッドのスモールエンド部(ピストンピン側)は往復運動をしていて、その往復運動はコネクティングロッド質量の1/3〜1/4で、残りの質量はクランクピンで拘束されビックエンドの中心は円運動をしています。この質量はクランクシャフトのカウンターウエイトを含んだ質量と共に遠心力を発生させます。又、この遠心力はフライホィールを含むクラッチAssy.の質量の遠心力と共にMOTO GUZZI独特のフィーリングを生んでいます。
吸入・圧縮・燃焼・排気の各行程に発生し作用する力はピストンを通じコネクティングロッドに加わり、各行程、クランクアングルにより刻々と変化しています。圧縮行程と燃焼行程ではガス圧が掛り、排気行程では殆どガス圧は掛からず、吸入行程では混合気を引き入れる為、力は逆方向に作用します。以上の様にコネクティングロッドは揺動する為上下方向だけで無く横、斜め方向へにも力が掛かりビックエンドにはこれに遠心力が加わります。この様に過酷な運動をしているコネクティングロッドは各部の変形を防ぐ意味でクランクシャフトと共に剛性を高める必要があります。
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