MOTO GUZZI はバルブオペレーションシステムにOHV(Over Head Valve)とOHC(Over Head Camshaft)を採用しています。/[Fig.1] このシステムはValveを直押しするタイプのDOHC(Double Over Head Camshaft)と比較すれば、バルブクリアランスの調整を短いサイクルで実施しなければなりません。因みにMOTO GUZZI社は5,000km毎に調整するように指示をしています。今回は一見簡単にできそうなバルブクリアランスの調整ですが、それなりにエンジンの調子を左右しますので、「信頼できるプロ」に依頼されたほうが懸命です。 今回、私ども“MOTO GUZZI RIPARARE”では、このような注意を払って整備を実施している事を皆さんに知って戴く為にこの事項を説明致します。 ↑クリックすると大きな画像で見られます。 この整備は冷間時に実施しなければなりません。まず最初に、バルブクリアランスを調整する前にシリンダーヘッドナットの締付けを点検して下さい。(締付トルク 40〜42Nm, 4.2kg-m) *調整を実施する側のピストンを圧縮上死点にします。 *MOTO GUZZIの各モデルは基本的な調整方法は同じですが、機種によって少々異なりますので最初にImola/LeMans/California/Sport1100/V11Sportのエンジンに付いて説明します。/[Fig.2][Fig.3] PC/VE/VF/VV/KF/KR系等では、アジャストスクリューはロッカーアームのプシュロッド側に付いていますので、指定されたサイズのシクネスゲージをロッカーアームフェース部とバルブステムトップの間に入れてこのアジャストスクリューを回して適切なクリアランスでアジャストスクリューのロックナットを締付けます。基本的に言えばこれで終わりです。 しかし、この作業をする前にするべき事があります。それは、このタイプのモデルはロッカーアームのバルブ側の曲面(ロッカアームフェース)でバルブを押しますのでこのフェース部とバルブステムトップ部が [Fig.4]のように磨耗します。賢明な皆さんはもうお判りと思いますが、これを修正しなければ正しいシクネスゲージで正しく調整しても実際はクリアランスは広めにセットされます。それでは修正しましょう。最初にロッカーアームを外し単体にしますが、この時にロッカーアームピンも点検します。段つき磨耗が出来ていたらロッカーアームピンは修正できませんのでロッカーアームのインナーブッシュと共に取換となりますが、軽微な接触傷でしたらこのロッカーアームピンが受けるストレスは構造上、下側のみからですので180度回して組付けても使用は可能です。 但し、Imola/Monzaのモデルに付いてはロッカーアームピンにオイル溝が設けてありますので組付け方向に注意して下さい。 ロッカアームフェース部は焼入れを施してあり硬くできていますので、オイルストーンでフェース曲面の曲率を変えないように慎重にオイルを付けながら磨耗跡が消えるまで削りその後耐水ペーパーでオイルを付けながらオイルストーンの削り跡が無くなるように研磨します。又、バルブステムトップも同様にオイルストーンで修正しますが、この時もステムトップ面が斜めにならないように注意します。その後オイルを付けながら組立て、その後、先程説明しましたようにシクネスゲージを使用して調整します。しかし、調整はシクネスゲージを動かしながらアジャストスクリューを回しますが、シクネスゲージの動きの重さでクリアランスを判断しますが、その重さの違いで1/100mm単位で変化しますので注意が必要です。 正しい重さの判断は[Fig.5]のように マイクロメーターにシクネスゲージを挟んでゲージを動かした時の重さを基準にして下さい。 *次にLmola-II/Capri/Lario/Daytona/Centauroのエンジンの調整方法を説明します。/[Fig.6][Fig.7] PS/PT/KA/KK系のOHV:OHC問わず“4バルブエンジン”の調整方法は基本的には上記モデルと同じですが、磨耗傷の修正方法が多少異なります。この各モデルではアジャストスクリューはロッカアームのバルブ側に取付けてあり、又、バルブステムトップに[Fig.8][Fig.9]のようなキャップを取付けてあります。そのキャップはロッカーアーム作動時に回転するようになっています。(ロッカーアームのアジャストスクリューセンターとバルブステムセンターを少しオフセットしてありキャップが回るようにして一点だけが磨耗するのを防いでいます。参考にテクニカルリポートNo.6の項の記事を照下さい)そのキャップには回転した事が判る接触傷がついています。それで、そのアジャストスクリューをゆるめてバルブステムトップキャップを取外してオイルストーンで傷がなくなるまで修正します。又、アジャストスクリューのトップキャップ接触部の損傷もチェックをし修正出来ない時は取換えて下さい。因みにこのモデルのアジストスクリューは定期交換部品と理解して下さい。 その後、オイルを付けて組付けますが、組付けただけでは、オイルの油膜厚さで正しいクリアランスを得る事は出来ませんので、クランキングをしてバルブを開閉させてトップキャップを押え付けトップキャップをオイルの油膜と馴染ませた後、圧縮上死点にして調整して下さい。 (注意----PS/PT/DAYTONAの初期のモデルではバルブステムトップキャップが取付けてありませんので、取付けられる事をお勧めします。 *バルブクリアランスの調整を実施しましたら、必ずキャブレターのバキュームのバランスの調整をして下さい。又、エンジンは各部の部品が 正しくバランスして作動しなければなりません。イグニッションタイミング・バルブクリアランスを正確に調整した後にキャブレターの調整を実施して下さい。[インジェクションモデルも同様に調整が必要です] 合わせてテクニカルリポートNo.9[バルブクリアランスの変遷]もご覧ください。 |
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