[29]

Technical Top


 次にDOHC・OHC方式の一般的に四輪車と一部の二輪車に使用されているのがコグドベルト。これは駆動系の騒音が低く最も新しい方式でしたが、現在は徐々にタイミングカムチェーン方式に変わりつつあります。DAYTONA1000・V10CENTAUROがこの方式を使用していました。-----今後はコグドベルト方式は特に二輪車では使われなくなる方向になると私は予想していますので、この方式の説明は次の機会に致します。
[●fig.3.Daytona1000]

 最後に現在市販されているMOTO GUZZIや国産各社の多くが採用しているタイミングカムチェーン。
[●fig.4]

 今回は動弁系の駆動方式についてタイミングカムチェーン(以下、タイミングチェーン)とタイミングギヤに付いて考えてみます。


■カムシャフトは回転する時にどの様な動きをしているのでしょうか?

 カムシャフトにはエンジンの性格を決定つけるバルブタイミングをコントロールするカムが切削されており、バルブを開閉させています。

 クランクシャフトの回転数から半分に減速されてカムシャフトが回転すると、カムがバルブプランジャーを介しバルブスプリングの荷重に打ち勝ちバルブスプリングを縮めながらバルブを開いていきます、この状態はカムの頂点まで続き、この時はカムシャフトはバルブスプリングの反力を受けながら回転していきます。 次にカムの頂点を過ぎた後はカムがバルブを閉じるのではなく、縮んだバルブスプリングが伸びようとする力でカムを押して回しているので、カムシャフトの回転方向に増速させることになります。

 ということはカムシャフトの回転は、バルブプランジャーを押してバルブを徐々に開こうとしている時はバルブスプリングによる減速方向に力を受け、バルブプランジャー接触部がカムの頂点を過ぎればバルブスプリングによる増速方向に力を受けているのです。つまり、カムシャフトは等速回転しているのではなく、周速度は常にバルブスプリングの影響を受けて増減速を繰り返しギクシャクと速度の変化を受けながら回転しています。
[●fig.5]

 また、カムはバルブスプリングにより燃焼室のバルブシートにしっかり密着され漏れ等を起こさない様にされたバルブを押し開いてカムの頂点を過ぎた後、バルブスプリングの力でバルブを閉じる時にバルブプランジャーがカム面にバルブスプリングによりしっかり接触している事がカムプロフィール通りにバルブを作動(閉じ)させるために必要な事です。(注・Tecnical Vol.6項参照

 MOTO GUZZIに関してこのカムシャフトの周速度の変化の影響を考えると、キャブレター吸気モデルでは「イグニッションタイミングの計算外の変化」が起き、またインジェクションモデルでは 「カムシャフトスプロケット部にタイミングセンサー(クランク角度)を作動させる部分がありますので、これもまたタイミングが違った信号を感知しピストン位置とバルブタイミングとのシンクロが異なり」長期間の使用でタイミングカムチェーンが伸びた場合など特に正常なエンジン作動ではなくなります。


   

Technical Top