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 ではCarlo Guzzi氏のLODOLAはタイミングチェーンの振れをどの様に抑えていたのかと言いますと[fig.8/fig,9参照]の様に弓なり状のテンショナーでタイミングチェーン全面を押さえて振れを防いでいるのです。タイミングチェーンの接触部にはラバーを貼りつけてチェーン損傷とノイズの防止を図っていました。

 1956年当時Carlo Guzzi氏がこのようなバルブタイミングとタイミングチェーンの作動に着目しLODOLAの動弁系をデザインした事に驚きを感じます。(私の記憶が正しければ、後にこの様なタイプを国産で最初に採用したのはHONDAのCB50だったと記憶しています)過去はさておきまして、その後のMOTO GUZZIはV35/V50/V65/V75等のエンジンはLODOLAと同じ様にタイミングチェーン接触部にテフロンを使用した”弓型のチェーンテンショナー”[Fig.10参照]を装着しています。

 しかし、850cc〜1200ccは前述の様にV7Sportの初期型までヘルカルギヤによるギヤトレインによるものでV7Sportの後期型からタイミングチェーンによるものとなりました。そしてテンショナーは、1987年ころまでは、ラバーが溶着してあるチェーンガイド[fig.11/fig.12参照]でタイミングチェーンを押さえて定期的に調整するものでした。


 その後は[fig.4/13参照]の様なもので接触部はテフロン製で、前述の国産ローラーと同じような装着位置でタイミングチェーンの一部分のみを押さえている為タイミングチェーンがクランクケースに接触しノイズを発生する以前のモデルの様なことはなくなりましたが、スプリングが弱いのでタイミングチェーンの振れをLODOLAのように確実に抑える事はできません。

 定常走行時はもちろんスロットルの開閉を繰り返す度に短時間ですがバルブタイミングを変化させ(狂わせ)ています。------[Fig.14接触痕参照]


 この問題はイタリアで解決しました。[Fig.15参照] これはイタリア在住のMOTO GUZZIチューナーの製品です。チェーン接触部にはV75系チェーンテンショナーのテフロン部を流用しています。我々は、今まで述べました動弁系駆動の懸念を払拭する為に、タイミングチェーンの取換時にはこの”弓型のチェーンテンショナー”をお勧めしています。

 このチェーンテンショナーを装着する事によりカムスプロケットからオイルポンプまでのチェーンをしっかり押さえつけて寸分の振れも起きない様になりますのでカムシャフトのギクシャクも発生しなくなりエンジン回転がスムースになりノイズも減少します。
[●fig.16]


 タイミングチェーンを構成する部品のうち実際にスプロケットと接触するローラーとピンが初期磨耗や経年使用などにより隙間が生じる事によりひとコマ間の伸びが発生し全長が長くなりますので、この意味でも”チェーンテンショナー”が重要なパーツとなります。
[●fig.17]


   

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