そして2001/9/27朝、Milano のホテルにPaolo氏が迎えに来ました。私は前夜の到着でしたが時差ボケも無く元気一杯っ！。彼のFiat でMilano 郊外にある彼の勤める運送会社に向かいます。その日はいつにもまして交通量が少ないそうです。幸先の良いスタートとなるのでしょうか？。
　やがて到着した倉庫では2ヶ月前に船で送った私のCalifornia 2 が待っていました。ところが荷姿を小さくする為にバラしておいたいくつかの部品が全て組み上がっているのです。それはアプリリアの1000に乗るライダーでもあるPaolo氏の心づかいだったようです。

　近くにあるLinate 空港まで先導してもらってお別れです。Stazione di benzina=ガソリンスタンドで初給油を終えて、とうとう初めての右側通行単独走行！、ドキドキしながらMilano 中心の方に進みます。しかし、どこまで行っても標識らしいものがないのです。周りに流されて目印になる通りや広場の名前もみつけられません。といっても気持ちに余裕がないので止まって地図を見る事さえできないのです。長年付き合ったCalifornia を無意識の内でも操作できているのがせめてもの救いです。
「このまま行ったらDuomo ドゥオーモまで行っちゃうぞ。」
そしてホテルは南東部。でも左折できる交差点がありません。
「左に曲がらなきゃ、曲がらなきゃ・・・。」
だいぶ行き過ぎたと感じる頃にようやくロータリーを発見。初体験のロータリーをおずおずと270°ターン。一周してしまわなかった事に満足しながらしばらく進むと、次にあらわれたロータリーには見た事のある古い門・・・。もしやと覚悟を決めて再び270°ターン。

　バッテリーをつないでさあ始動！。
　・・・・・・・・・・。
　・・・・・・・・・・？。
　左のエキゾーストパイプが冷たい！。なんと片肺なのです。完璧に整備をして送った筈なのにこれではメカニックとしての面目がたちません。平静を装って早速整備を開始しました。
　順を追ってチェックしますとコンタクトブレーカーの異常であるとわかりました。なんと少し磨いたくらいでは導通しない程に左のコンタクトブレーカー面が腐食しているのです。日本で最後にエンジンを止めた時に左のコンタクトブレーカーが開いていた為に長い船旅と2度の赤道通過で錆びてしまったようです。「なるほど」と感心してしまいました。やってみないと予測しきれない事ってやはりあるんですね。

　Paolo氏が来ました。「GUZZI はどう？
　昼メシに行こうか」もう昼過ぎなのです。
　私「エンジンはOK、だけど（何度もチェックしたので）
　バッテリーがあやしい、ここで寝て待つよ」
　Paolo氏「No、no、no、一緒に行こう」

　腹が減っては戦はできぬ、という事なんでしょう。彼の同僚も加えて3人で食事に行きました。私はアセリの為かたいして食べられませんでしたが、彼らの週末のトスカーナツーリングの話などで充分リラックスさせてくれました。この時ツーリングの事をMoto-Turismo モトツーリズモと言うのだと教えて貰ったのでした。おかげで昼食後は再び元気一杯！、Paolo氏のFiat からバッテリーケーブルをつないでついにCalifornia 始動！！。とはおおげさでしたが、いきなりのつまずきだっただけに内心は本当にほっとしてたんです。

　それはまさしくホテルへと続くCorso di Porta Romana=ロマーナ門大通りでした。まるで仕組まれたかの様な偶然に感謝しました。MOTO GUZZI を愛する旅人にITALIA は悪い事ばかり用意しているのではないようです。そして石畳ガタガタ走行の洗礼も受けて、無事ホテルに到着できたのです。
　ところでコンタクトブレーカーを駄目にした湿気と塩分は他の部品にも結構深い錆びを浮かせていました。その日の午後は道路に慣れる為少し走るつもりだったんですが、MOTO GUZZI DAY に備えて夕暮れまで錆び落としと変更しました。しかし初日からこんなに整備道具を使うとは！！。最後にホテル前の歩道上、駐車禁止の標識ポールにCalifornia をガッチリつなぎ、走行距離15kmで今日はおしまいとなりました。